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2008年9月

2008年9月22日 (月)

学校では教えてくれなかった算数

1668b_3ローレンス・ポッター著/谷川漣訳

46判並製/240頁/定価1733円/2008年9月




◆算数のやり方は一つじゃない! 古今東西のヘンな計算法やすごい計算法を紹介

 子どものころ、だれでも多少は悩まされた算数。訳もわからずやり方を叩き込まれた思い出しかないという人でも、今では一通りの計算ができるようになっているはずです。人間は教育なしでは4までしか数えられませんが、その人間をだれでも計算ができるようにさせる教科「算数」が出来上がるまでには、数千年にわたる人類の叡智の積み重ねが必要でした。本書では、学校で「訳もわからず叩き込まれた」計算のやり方を、その方法が出来上がるまでの古今東西の歴史を交えながら納得できるよう解説する、大人のための算数読本です。
 イギリスの現役算数教師が書いた本ですので、「こうやって教えてもらえれば、楽だったのに!」と思わせる箇所がたくさんあり、教育関係の方や小学生の子どもをお持ちの親御さんにもお勧めです。また数学好き、算数好きの方のために80題以上の面白い算数パズルを収録しており、幅広く読んで楽しんでもらえる内容の一冊です。

[本書から]
・掛け算の筆算ゲロシア  学校で習った掛け算の筆算のやり方は、実は最善の方法ではない。それよりずっと簡単でわかりやすい「ゲロシア」という方法が、近代以前は一般的だった。ただ、ゲロシアは教科書に印刷しづらかった(文字組みが面倒だった)ために、主流にならなかった。
・ヘンな分数計算法  古代エジプトでは分数を書くとき、必ず分子が1でなければならないというルールがあった。たとえば7/10は「1/5+1/2」のように表現しなければならず、計算が非常に面倒だった。
・行き当たりばったり解法  古代エジプト人は方程式を解くとき、適当な数字を当てはめてうまくいくか確かめながら解いた。古代バビロニア人は連立方程式にも、これと同じ方法を使った。
・算数パズル  あるハンターが狩猟のために家を出て南に向かいました。やがて、東に向かって進む熊を見つけます。ハンターは何キロかその後を追いかけ、撃ち殺せるだけの距離まで近づきました。そこから北に向かうと家につきました。熊の毛の色は何色だったでしょう?(本書パズル71)――答え=白。ハンターの家は北極点になければならないから。

文学的なジャーナル――Journal Imagined

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岡崎祥久著

四六判上製/216頁/定価1890円/2008年9月

 本書は、これまで「私」が20年以上にわたって段ボール箱に溜めてきたメモ(買い物リストや当座の予定などを書いた覚え書き)を元に、日記=ジャーナルを再構成するという形式の小説です。日付けのバラバラな日記は、しだいに当たり前の日常からはズレていき、「事実」の枷から放たれた豊かでユニークな世界が立ち上がっていきます。
 著者は、第139回芥川賞候補(『ctの深い川の町』)で話題となった岡崎祥久。群像新人賞・野間文芸新人賞受賞の実力派作家です。現代において小説を書くことへの高い意識に貫かれた本書、いまどきの小説に飽き足らない文学ファン必読の1冊です。

【本書より】
・「段ボール箱の中に蓄積された過去は、自然の地層のようには累重していない。新旧がないまぜになっている。そしてその分だけ、私の頭の中の小さな世界と相似している。」
・「二〇〇六年十月十四日 土曜日/海子はテーブルの下に地獄の犬を飼っている。/食事の食べこぼしで育てている。/今、梨を一切れ落としてやった。」
・「一九九五年四月七日 金曜日/新宿で、本屋に向かって昇ってゆくエレベータに乗っていたら、若い男が一人倒れた。『回ってきちゃった』と言いながら、ぐらりと倒れた。こういうのは初めて見た。」
・「二〇〇七年十月八日 月曜日/日本というのは、貧乏な作家にとっては、暮らしにくい国なのかもしれない──そう思うことがしばしばある。けれども西瓜子(ニカコ)はこう言うのだ──貧乏ならどこへ行ったって暮らしにくいよと。」
・「二〇〇一年六月二十日 水曜日/昔のメモを読み返しながら私は、いったい何をしているのだろうか。今よりさらに十年後、とまでは言わずとも、五年後か六年後に、この同じメモを〔私〕が読み返せば、いくらか異なる過去が作り出せるであろう。読み返すたびごとに、過去は生成されるのだ。」

極上のオーケストラ鑑賞ガイド

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宮本文昭監修 

A5判並製/128頁/全頁カラー/定価2,310円/2008年9月

■基礎知識から歴史まで、世界の名門オケの特徴と推薦盤を紹介!
 クラシック音楽の最大の愉しみはやはりオーケストラ音楽でしょう。同じ曲でありながらオケが違えば、また同じ曲同じオケであっても指揮者が異なれば、まったく違った音楽が聞こえてくる。「オーケストラの数だけ独自のサウンドがあります」(監修者・宮本文昭氏)それを全身で受け止めることで、音楽の愉しみと喜びはさらに倍増していきます。
 本書はオケの歴史や構造、指揮者やコンサートマスターの役割などの基礎知識をカラー図解で解説し、また世界の名門オケの特徴と歴史、錚々たる常任指揮者たちや有名な演奏曲、さらにはオススメの名演CDも紹介する図鑑も展開されます。

■一度は絶対聴いてみたい名指揮者×名門オケの黄金コンビ 
 七〇年以上にわたって常任指揮者を置かず、自分たちの気に入らない指揮者は徹底的に忌避するという名門中の名門「ウィーンフィル」。その楽団員たちが唯一「認めてもいいかなと思っているフシがうかがえる指揮者」が、カール・ベームでした。本書第3部では、フルトヴェングラーとベルリンフィルなど、音楽史に残る指揮者と名門オケの「黄金のコンビ」も紹介します。
 ベテランのクラシックファンにも、これから愉しみたいという入門者にも最適な、ありそうでなかったオーケストラガイドの登場です。

■本書で紹介する世界と日本の名門オーケストラ
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団/ロイヤル・コンセルトヘボウ/バイエルン放送交響楽団/シュトゥットガルト放送交響楽団/ドレスデン国立歌劇場管弦楽団/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団/ニューヨーク・フィルハーモニック/ボストン交響楽団/シカゴ交響楽団/フィラデルフィア交響楽団/クリーヴランド交響楽団/メトロポリタン歌劇場交響楽団/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団/国立パリ還元楽団/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団/ミラノ・スカラ座交響楽団/サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団/マリインスキー劇場管弦楽団/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団/オスロ・フィルハーモニー管弦楽団/ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団/NHK交響楽団/読売日本交響楽団/新日本フィルハーモニー管弦楽団……などなど

「声」の秘密

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アン・カープ著
梶山あゆみ訳

四六判上製/296頁/定価2310円/2008年9月

●「声」で読み解く人間社会のカラクリ!
 あらゆる人間関係に知らず知らずのうちに大きな影響を与えている私たちの声。相手に好印象を与えるのも、話に説得力をもたせるのも、「声の力」に負うところ大なのです。
 本書(原題THE HUMAN VOICE)は、人間だけが使いこなしている最強の道具である「声」についてさまざまな視点から考察した本です。時代や地域、性別の違いは「声」にどんな影響を及ぼしているのか? イギリスで第一線のジャーナリストとして活躍する著者は、驚きのエピソードを紹介しながら「声」の持つ不思議な力をあますところなく伝えています。現在、ネット上やメールでやりとりされる言葉がときにひどく殺伐としたものになるのも「声の力」が欠けているせいかもしれない――そんなことを考えさせられる一冊です。

[本書から]
・母親の声は胎児の心拍数を抑える効果がある。驚くべきことに、生まれて2時間足らずの赤ん坊でも、他の女性の声よりも母親の声に反応する。赤ん坊は母親の「顔を見たとき」より「声を聞いたとき」に微笑む回数が多い。
・声には聞き手が必要で、聞き手がいないとバランスを失う。だから留守電にメッセージを残すのは難しい。電話で留守電にメッセージを吹き込んでいる人の声もすぐわかる。
・本来もっている声域は変わらないのに、日本人女性の声はアメリカ人女性より高く、アメリカ人女性の声もスウェーデン人女性の声とくらべると高い。男女の役割が明確に分けられていた時代の長短が影響しているのではないか。
・ヒトラーが国民を鼓舞するのにも声は大きな役割を果たした。アメリカの戦略諜報局はヒトラーの食事に女性ホルモンを入れて、その声を女性化する計画を練ったことがある。
・会話中の声の大きさ、話す際にどれだけ間をあけるかに注目すると、かなりの確率でうつ病が見抜ける。回復のプロセスも同じく間のあけ方と声の大きさでわかることが多い。

自衛隊の情報戦──陸幕第二部長の回想

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塚本勝一著

四六判上製/240頁/定価1890円/2008年9月

●「軍事情報のプロ」が初めて明かす日本のインテリジェンスの実力!
 インテリジェンスの重要性を説く声が高まっています。これまでなおざりにされてきた感のある安全保障や軍事の分野をみれば、隣国の一つが軍備増強の道をひた走り、また一つは核のカードを手放さないトップの重病説が伝えられるいま、とりわけこの方面での日本のインテリジェンス力が問われていると言えるかもしれません。インテリジェンスと言えば、映画や小説で描かれる派手な(?)スパイ合戦を想起してしまうのですが、はたして実際のところはどうなのか。本書は、陸幕第二部(陸上幕僚監部の情報部門)部長をはじめ、いくつもの要職を歴任した陸上自衛隊の「制服組」OBの回想録ですが、このなかで初めて軍事的な情勢分析をになう自衛隊の活動について、その実相が描きだされています。
 戦前、若き士官として大陸戦線に従軍した体験から本書は始まりますが、そこで中国共産党軍の巧みな情報・広報戦をまのあたりにし(日本兵の望郷の念を誘う噂を流す)、またソウルの日本大使館の初代防衛駐在官をつとめたときには「よど号事件」に遭遇、韓国軍の対策本部に詰め、かの国の危機への対処法(最後まで犯人を捕らえるために粘る)を間近に見、「金大中事件」ではあたかもKCIAのカウンターパートであるかのごとき誤解をうけるなど、得がたい体験が生々しく語られ、これらをとおして、戦前から一貫して抱える日本の情報・広報戦略の弱点といったものも浮き彫りにされていきます。
 まさに軍事情報のプロが些かの脚色もなく書いた本物の情報の本であり、現在のところ、日本のインテリジェンスの実力を正確に知るための唯一の本と言っても過言ではないでしょう。本書で明らかにされた事例の一部を以下にあげます。

●陸幕第二部はどのように組織されているか、主な任務は何か●インフォメーションとインテリジェンスはどう違うのか●ヒューミント(人的情報活動)で某国が秘密にしていた新式装甲車の現物写真をつかむ●公然情報(公刊物と無線傍受)で相手の姿が八割以上わかる●コミント(通信情報)によりソ連軍のアフガン侵攻を世界に先駆けてキャッチ●モスクワに派遣された自衛隊の専門家に毒を盛った旧ソ連諜報活動の凄まじさ●陸上自衛隊の情報関連予算と同額の交際費がついていた韓国陸軍情報担当官●防衛省の情報活動には人事と予算の二つのネックがある。

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