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2008年9月22日 (月)

自衛隊の情報戦──陸幕第二部長の回想

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塚本勝一著

四六判上製/240頁/定価1890円/2008年9月

●「軍事情報のプロ」が初めて明かす日本のインテリジェンスの実力!
 インテリジェンスの重要性を説く声が高まっています。これまでなおざりにされてきた感のある安全保障や軍事の分野をみれば、隣国の一つが軍備増強の道をひた走り、また一つは核のカードを手放さないトップの重病説が伝えられるいま、とりわけこの方面での日本のインテリジェンス力が問われていると言えるかもしれません。インテリジェンスと言えば、映画や小説で描かれる派手な(?)スパイ合戦を想起してしまうのですが、はたして実際のところはどうなのか。本書は、陸幕第二部(陸上幕僚監部の情報部門)部長をはじめ、いくつもの要職を歴任した陸上自衛隊の「制服組」OBの回想録ですが、このなかで初めて軍事的な情勢分析をになう自衛隊の活動について、その実相が描きだされています。
 戦前、若き士官として大陸戦線に従軍した体験から本書は始まりますが、そこで中国共産党軍の巧みな情報・広報戦をまのあたりにし(日本兵の望郷の念を誘う噂を流す)、またソウルの日本大使館の初代防衛駐在官をつとめたときには「よど号事件」に遭遇、韓国軍の対策本部に詰め、かの国の危機への対処法(最後まで犯人を捕らえるために粘る)を間近に見、「金大中事件」ではあたかもKCIAのカウンターパートであるかのごとき誤解をうけるなど、得がたい体験が生々しく語られ、これらをとおして、戦前から一貫して抱える日本の情報・広報戦略の弱点といったものも浮き彫りにされていきます。
 まさに軍事情報のプロが些かの脚色もなく書いた本物の情報の本であり、現在のところ、日本のインテリジェンスの実力を正確に知るための唯一の本と言っても過言ではないでしょう。本書で明らかにされた事例の一部を以下にあげます。

●陸幕第二部はどのように組織されているか、主な任務は何か●インフォメーションとインテリジェンスはどう違うのか●ヒューミント(人的情報活動)で某国が秘密にしていた新式装甲車の現物写真をつかむ●公然情報(公刊物と無線傍受)で相手の姿が八割以上わかる●コミント(通信情報)によりソ連軍のアフガン侵攻を世界に先駆けてキャッチ●モスクワに派遣された自衛隊の専門家に毒を盛った旧ソ連諜報活動の凄まじさ●陸上自衛隊の情報関連予算と同額の交際費がついていた韓国陸軍情報担当官●防衛省の情報活動には人事と予算の二つのネックがある。

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