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2009年1月21日 (水)

あなたの家族が「うつ」になったら

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光本英代 著

46判並製/240頁/定価1470円/2009年1月

●患者を支える家族の問題に焦点をあてた、初めての本!
 うつ病は今「心の風邪」と言われるほどポピュラーですが、その実態は、うつ病者本人、もしくは共に暮らす家族にしかわかりません。日本では病院の取組みも家族へのケアも立ち遅れており、家族がうつ病とわかったとき、患者を支えるほかの家族のとまどいと日々の心労は並大抵ではありません。うつに関する本は数多ありますが、本書は患者の家族の本音と葛藤をリアルに描いた、初めての本です。
 著者は結婚早々、夫がうつ病になり会社に行けなくなりました。医者からくわしい説明もなく、どう対応すればよいのか試行錯誤の日々が続きます。温厚だった夫が感情的な性格に変貌し、始終暴言を吐く──病気のせいとわかっていても、次第に夫婦関係は危うくなり、夫の自殺未遂、別居、離婚という成り行きをたどりますが、その間著者は、うつ病者の家族としてどうすべきだったのか、何がいけなかったのかという自責の念にとらわれていました。その思いから、MDA(うつ・気分障害協会)で知り合ったうつ家族に、患者とどう向き合ってきたかを家族の視点から徹底取材したのが本書です。
 夫が、父親が、娘がうつになったケース、そしてうつ病者本人の話、いずれも先の見えない不安と辛さがひしひしと伝わってきますが、苦難をのりこえて得られる達観、家族の絆も見えてきて救われます。「うつ病になると、本人、家族、みんなが傷つく」「原因探しはしないほうがいい」「うつの苦しみは経験者でないとわからない」……取材を進めるうちに著者は、夫を支えきれなかった未熟な自分を赦そうと思えるようになります。また最終章では、家族が自分をケアし、楽になるためにできることを紹介しています。
 うつ病が本人と家族にとってどういうものかが見えてくると共に、うつをめぐる人々の心情が胸に迫る、ノンフィクション作品としても秀逸な一冊です。

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