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2009年2月23日 (月)

炭鉱太郎がきた道――地下に眠る近代日本の記憶

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七尾和晃・著

四六判上製/224頁/定価1785円/2009年2月


●「時代の波」に淘汰されていった人々の濃密な生の軌跡●
これまでにない激烈な経済危機がこの国を苛んでいます。グローバルな構造変化による急速な衰亡――。かつて炭鉱夫(炭鉱太郎)たちが辿った道を、いまや日本と いう国全体が歩んでいるようにさえ思えますが、では彼らはその後どうなったのでしょうか。本書は、時代の波に飲み込まれていった人々の来歴を、「炭鉱夫」という存在の歴史的な背景にまで目配りしながら活写したルポです。著者は最盛期に石炭産出量の四割を生産していた福岡・筑豊地区を中心に丹念な取材をおこない、数多くの炭鉱太郎たちの「肉声」を聴きました。そこには当然、過酷な労働環境についての記憶もあれば、歴史の暗部ともいうべき搾取や差別にまつわる記憶もありますが、日本の近代を地の底から支え続けた人たちが語る強烈な体験の数々には、「恨みごとに終わることのない……ささやかで優しいたくましさ」(本書より)が満ちているのもたしかです。本書が危機の時代を必死で生き抜こうとしている日本人を勇気づけることを願ってやみません。

[本書から]
●炭鉱離職者に交付された「黒い手帳」。しかし、この手帳が累計でどれだけ発行されたかは不明で、厚生労働省にすら記録が残っていない。
●炭鉱で働く人々のなかには、石炭会社の「社員」という身分の炭鉱夫のほかに、「納屋」とよばれる場所に籍を置いた(現在の派遣問題にも通じる)渡りの人々がいて、炭鉱夫の離職率の高さは明治期以降(戦中も)、つねに問題となってきた。
●ヤマとヤマを取り巻く町村の人々との軋轢から生まれたのが、「山の神」神社という独特な神社だった。            

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