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2009年6月22日 (月)

日本が拉致問題を解決できない
本当の理由(わけ)

1717








荒木和博=著
四六判上製/240頁/定価1890円/2009年6月

飯倉公館事件、「家族会」バッシング、山本美保さんにかかわる「DNAデータ偽造事件」。
徐々に浮かび上がってきた、拉致問題の深い闇と驚くべき〝国家犯罪〟!

●不可解な膠着状態の真相に迫る
 平成十四年の小泉訪朝で北朝鮮が拉致を認め、五人の拉致被害者とその家族が帰国して以降、事態はいっこうに進展を見せないまま、七年の歳月がむなしく流れました。北朝鮮が犯人であり、被害者の居場所が北朝鮮であるとわかっていながら、なぜ問題が解決せず、被害者を取り戻すことができないのか。このことは日本人の誰もが、もどかしく、いぶかしく思っている疑問です。本書は、拉致の可能性のある失踪者=特定失踪者の調査・救出活動の最前線に立つ「特定失踪者問題調査会(調査会)」代表、荒木和博氏が、これまでに判明した事実に加えて、建国(一九四八年)以来の北朝鮮の歴史をふまえ、この不可解な膠着状態の真相に迫ったものです。

●昭和二十年代から拉致を知っていた?

 まず注目すべきことは、拉致は、北朝鮮の建国まもない頃から、通常の行為として行われてきたのではないかとの指摘です。「調査会」のリストにある特定失踪者は、現在、約四百七十名、うち拉致の可能性の高い失踪者(通称一〇〇〇番台)は七十一名。先の〝人工衛星打ち上げ成功〟の記念写真で、金正日の後方に写っている人物ではないかと報じられた河島功一さん(大学でロボットアームを研究)が含まれていることからもわかるように、確度の高いリストですが、このなかで最も古いケースが、昭和二十八年に失踪した徳永陽一郎さんです。拉致は一九七〇年代後半から始まったという通説をくつがえすショッキングな事例ですが、警察をはじめとする調査・捜査機関はこうした事件を?んでいたのでしょうか。?んでいて放置していたとすれば、重大な責任問題に発展しますから、関係者は口をつぐんでいるはずです。こうしたお役所的姿勢が、拉致問題が解決しないことの要因の一つではないかと、本書は示唆しています。

●拉致問題の見方を根本から変える

 お役所=日本政府の真意を、よりはっきりとあらわすものとして、荒木氏は次の三つの事件を取り上げています。すなわち、家族を外務省飯倉公館に〝隔離〟し、「死亡」情報の確定化をはかった第一次小泉訪朝時の飯倉公館事件。何一つ成果のなかったことで、「家族会」の人々が首相を追及する場面を、本来はオフレコにすべきところを取材させ続け、「家族会」批判の世論をつくりだした「家族会」バッシング。そして三つめが、一〇〇〇番台リストの一人、山本美保さん(昭和五十九年六月四日、甲府で失踪)の双子の妹、森本美砂さんの血液と、美保さん失踪から十七日後に山形の海岸に漂着していた女性の遺体の骨髄のDNAが一致したと、平成十六年(失踪から二十年後)に山梨県警が発表するも、数多くの矛盾が見出された「DNAデータ偽造疑惑」。この件は、第二章(一五七―七〇頁)で詳述されていますが、端的に言えば、美保さんの〝入水自殺〟をほのめかし、特定失踪者の救出活動の動きを抑えるのが目的だったということです。
 これらのことから浮かび上がってくるのは、日本政府はこれ以上、拉致被害者をふやしたくはなく、日本政府の責任で被害者を取り返す意志はないという驚くべき事実です。実際、年間五億円の予算がついた拉致対策本部でも、実質的な情報収集活動は行っていない由。この問題が解決できない真因は、実は足元にあったのであり、これは北朝鮮の国家犯罪とは別な意味での〝国家犯罪〟と言えるかもしれません。拉致問題のとらえ方を根本から変える本書は、新たな視点での救出のアプローチを探るうえでも、画期的な報告と言えるでしょう。

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