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2009年7月21日 (火)

ブラックホールを見つけた男

1718








アーサー・I・ミラー著
阪本芳久訳
46判上製/544頁+口絵4頁/定価2,625円/2009年7月


◆インドから来た19歳の天才の大発見は、受け入れがたいほど革新的だった!

 寿命を迎えて冷えていく恒星は、ゆっくりと縮んでいく。その中でも大きな星は、自らの重みを支えきれずに無限に縮んでいく――。現在ブラックホールという名で知られている天体がこの宇宙に存在しうることを、1930年にはじめて指摘したのは、スブラマニアン・チャンドラセカールというインド人の天才少年でした。しかし、その発見は当時の天体物理学界の重鎮、アーサー・エディントンにより無根拠に否定されてしまいます。エディントンは生涯にわたり、このチャンドラセカールの発見を執拗に酷評し続けましたが、このことが、ブラックホール研究を40年近くも停滞させる原因となり、チャンドラセカールの人生にも大きな影を落とすことになりました。

◆天体物理学最大の発見が巻き起こした波乱の物語
 もちろん現在では、ブラックホールの存在は天体物理学の世界でも受け入れられており、チャンドラセカールもあの発見から50年以上を経た1983年にノーベル賞を受賞しました。それどころか、現在ではブラックホールの研究は、物理学の謎を解く鍵となる最重要テーマのひとつだと考えられています。また、CERNに作られた大型加速器LHCでは、ミニ・ブラックホールを作り出すことができるかもしれないといわれており、そうなれば物理学のさまざまな重要な問題が一気に進展する可能性があるとも言います。
 それほど重要なブラックホールの発見を、エディントンが否定したのはいったいなぜなのでしょうか。その後認められ、物理学の最先端の重要テーマとなったのはなぜなのでしょう。本書は、チャンドラセカールら、ブラックホール研究の草創期の科学者たちのドラマを中心に、冷戦時代の軍拡競争がもたらした意外な研究成果や、最新の研究事情まで、天体物理学最大の発見がたどった、あまりに数奇な歴史を描き出します。
 物理学者のみならず、一般の科学ファンの興味をひきつけてやまないブラックホールですが、その研究の歴史、関わった研究者たちにも、驚くべきドラマが隠されていました。世界天文年である今年、おすすめしたい一冊です。

著者紹介  
ロンドン・ユニバーシティ・カレッジ科学史・科学哲学教授。邦訳されている『アインシュタインとピカソ』(TBSブリタニカ)のほか、『アルバート・アインシュタインの特殊相対性理論』『不確定性の64年』『天才のひらめき』など著書多数。

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