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2009年10月21日 (水)

田中角栄 封じられた資源戦略 
――石油、ウラン、そしてアメリカとの闘い

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山岡淳一郎著

四六判/上製/320ページ/定価1995円/2009年10月

■「持たざる国」日本の生命線を求め、日米関係の結界を破った角栄
 ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領のいう「核なき世界」で核兵器が廃絶されるとして、原発はどうなるのか? 世界を挙げての温暖化対策のなかで原発の存在はどうなる? その原料であるウランは? 誰がウランを押さえているのか?
 エネルギー資源はいつの時代も紛争の最大の原因の一つでした。世界のエネルギー資源は、したがって極めて強力かつ表からは見えにくい「権力」によって抑え込まれています。
 資源を「持たざる国」日本は、そのなかでいかにしてエネルギーの生命線を確保すればいいのか。これが太平洋戦争期をふくめ近代化以降の日本の最大の難問でした。
 かつてこの問題に自ら体当たりし、活路を開くかにみえながら結局潰されていったのが、宰相・田中角栄でした。アメリカの傘の下で石油をはじめとする資源ルートを厳しく抑えられていた日本から、敢えて結界を破って独自の「資源外交」を展開した角栄は、どんな戦略を立ててどこと交渉し、どんな成果を得ながら、どんな「地雷」を踏んだのか。
 本書はその軌跡をつぶさに検証し、いまなおわが国最大の課題である「日本の資源戦略」を考えるヒントを導き出そうとするものです。

■角栄の「資源外交」から世界の資源争奪の権力構造が見えてくる

 70年代の独自の「資源外交」によって、角栄はさまざまなシーンでアメリカの「資源」の実効支配から飛び出そうとしました。石油メジャーを振り切ってソ連やインドネシアと交渉し、ウラン濃縮ではアメリカを飛び越えてフランスやオーストラリアと手を結ぼうとします。その要所要所で威嚇を発してくるのが、後にノーベル平和賞を受賞するヘンリー・キッシンジャー。資源だけが原因ではないにせよ、やがて角栄はロッキード事件によって排除されていきます。以降、日本の資源外交はなりをひそめた格好となりました。
 角栄のもがいた軌跡とその躓きは、そのまま世界の「資源ネットワーク」の陰画でもあると言えます。それは現在もなお世界を覆いつくし、日本はそのなかで資源を確保していくしかありません。角栄が接近した欧州には「ウラン・カルテル」が存在し、その中核はロスチャイルド家の企業体です。ノーベルとロスチャイルドの関係はよく語られますが、では「核なき世界」の「資源争奪戦」はどのような様相をとるのか……。角栄の資源外交は、まさに現在の日本の針路にとってきわめて重要な示唆に満ちたものと言えます。

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