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2009年11月24日 (火)

総崩れのイギリス それでも踏ん張るイギリス人

1739









マークス寿子【著】
四六判/上製/248ページ/定価1680円(税込)

英国のバブル崩壊と労働党議員の堕落
  リーマン・ショックはいうまでもなくイギリスも襲った。それは日本よりもすさまじいものだった。日本は1991年からの約10年間バブル崩壊を経験した。拓銀はじめ長銀、山一証券等の破綻は記憶に新しい。それが20年後に住宅バルブに沸いていた英国をリーマン・ショックとともに襲ったのである。スコットランド銀行はじめ幾つかの伝統ある銀行が破綻し、国有化された。経営者は破綻前に信じられないような退職金を受け取り、それが国会をも巻き込んで世論を沸き立たせる。著者も預金者としてこの崩壊に直面したのである。銀行員の質的低下、対応の悪化、英国の伝統ある金融取引システムが崩壊していく有り様が著者の体験を通じてつぶさに描かれる。本書の読み所である。
 さらに民主党が手本としてやまない労働党議員を主体とした経費の水増し請求問題が論じられる。ポルノビデオ代を請求する議員たちの生々しい生態が生き生きと語られる。このような不正請求を行うのは労働党議員が主で、保守党議員にはあまりいないという。

英国メディアの現状報告
  この本のもう一つのテーマは英国メディアの現状報告である。これがまたつまらないバラエティ番組ばかり見せられているわれわれにとって非常に参考になる。
  ここではまず、極貧の女性が「ビッグ・ブラザー(ジョージ・オーウェルの未来小説に出てくるスターリンを模した独裁者)・ショー」という番組に出演して一躍大金持ちになり、遂には自分の突然の死の瞬間までをテレビに取材させるジェイド・グッディという30代の女性の物語や高度な知識を競うクイズショー「ユニバーシティ・チャレンジ」に登場、最高点を獲得したオックスフォード大学の才媛の物語が生き生きと描かれる。

福祉国家の苦悩
  次に出てくるのが、一家4人の体重が合わせて500キロという超肥満家族の物語である。この家族、肥満を理由に働かないで全員国の福祉の世話になっている。当然納税者から何でこのこような家族を税金で養わなければならないのかという苦情が寄せられる。
  さらに驚くのは13歳の父親と15歳の母親の話だ。ここで取り上げられるのは家庭の崩壊である。貧者の救済のために作られた福祉手当が私利私欲を増進したり、不健全な家庭を促進する結果になっていることが語られる。日本はいま議会制度ではなく、このようなことを英国から学ぶべきことを著者は示唆している。
  最後に著者はダンケルクの精神について語っている。ダンケルクの精神とは第二次世界大戦の緒戦で英軍が北仏、ダンケルクに追い詰められ、このとき英国は民間の小さな船まで動員して、ダンケルクからドーバーへと撤退をはかった。著者は英国はいま、このダンケルクの精神で立ち直るだろうと示唆するのである。
  英国を手本とする現政権が学ぶべき事実満載の快著と言っていいだろう。

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