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2010年4月

2010年4月21日 (水)

地下水道 Undercurrent

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白汚 零【写真】

A4判変型/並製/96頁/4色刷/定価2940円(税込)/2010年4月

都市の地下に広がる下水道の世界を25年にわたって撮り続けた写真家の初作品集。
 下水道や鍾乳洞などの「地下空間」「地下水路」に魅せられた写真家が、じつに25年以上にわたって撮り続けてきた作品群の集大成です。
 都市の下水道は、当然ながら人が入ることを前提とされていません。まとわりつく汚泥、充満するにおい、時には有毒ガスさえ発生し、激しい水流に流される危険もあります。長い鉄梯子をおり、足場の悪いなかに三脚を立て、ライティングし、あるいは長時間露光で撮影されたその光景は、まさに「異界」そのものです。
「らせん状の水路」「職人技の煉瓦積みアーチ」等々きわめて多彩な光景
  高低差数十メートルを「らせん状」の水路で水をおろす下水道(東村山市)や、明治期につくられた、美しい職人技の煉瓦製アーチをみせる神田下水道、最新式の工法によるトンネルなど、きわめて多様な相貌をみせる「下水道」は、著者自身が「胎内都市」と呼ぶように、有機的なまるで生物の胎内器官をみるようです。
 私たちが生活するこの世界の下にひろがる漆黒の「異界」。その幻想的な光景をじっくりと堪能できる作品群です。

*写真展のご紹介
 青山ブックセンター本店(03-5485-5511) 2010年4月22日~5月6日
 いちょう画廊(03-3423-0018) 2010年4月22日~28日
*お詫びと訂正
  本作品の著者プロフィールに誤記がありました。お詫びして訂正いたします。
   × 上野彦馬賞日本写真芸術学会激励賞受賞
         ↓
   ○ 上野彦馬賞日本写真芸術学会奨励賞受賞

古地図でたどる 鉄道の知恵 線路の不思議

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井口悦男 著

B5判 並製 一二八ページ 一部カラー 定価一九九五円(税込)

成り立ちや路線名、線路の形態など、全国31箇所のおもしろポイントを、地図、時刻表、写真などの秘蔵資料で読み解く、鉄道話あれこれ。

地図・鉄道趣味の碩学がうんちくを傾ける
 著者、井口悦男氏は昭和六年生まれで今年七九歳、慶應中学の地理の先生を勤めたあと、帝京大学教授としてやはり地理、地図の研究を続けてきました。元古地図学会の会長も勤められました。一方で幼い頃から鉄道趣味を持ち、もう七〇年近く興味を持って日本各地の鉄道に乗り、資料を集めて愉しんできました。これまで鉄道関係の著作は出してこられなかったのですが、今回初めて長年の蓄積をまとめて本書として公刊されました。それだけに本書は、地図資料や自分で撮った車両や駅の写真、古い時刻表などが豊富に使われ、実体験も含めた鉄道の歴史の深い薀蓄が愉しめる鉄道書となっています。
全国の注目箇所を通して見えてくる鉄道の歴史
 たくさんの鉄道関連書が現在出ていますが、本書の特徴は珍しい地図資料が満載されている地図・鉄道ファンの必読書というだけでなく、近代日本の歴史や鉄道の発達史が、三一のポイントで実にうまくまとめられ理解されるようになっている点です。東京周辺だけでも東京駅がかなり後から作られたこと、丸の内側の閑散とした感じの由来、池袋駅は山手線ができてから二十年後につくられた新駅であること、新宿駅の小田急と京王の駅の並び方には理由があること、などが書かれていますが、どれも古地図をつかって説明されており、とてもわかりやすくおもしろい。そして何より、近代日本の発展の歴史がそれを通じて見えてくるという点です。
 鉄道の歴史は、基本的に国家の計画と私鉄の思惑との相克の歴史であり、地形克服や技術の歴史といっていいのでしょうが、この三一ポイントでそのことはよく理解できます。この三一ポイントを選び出した著者の俯瞰的な歴史眼と知識に敬服させられます。鉄道・地図・歴史ファンにぜひ読んでほしい好著です。

まだ科学で解けない13の謎

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マイケル・ブルックス著/楡井浩一訳

46判上製/352頁/定価1,890円/2010年4月

◆世紀の大発見はいつも、奇妙な「謎」からはじまる
 20世紀には何度か、「科学革命」と呼べる劇的な科学の進歩がありましたが、それらの発端は、当時の科学理論ではまったく説明できない「奇妙な謎」にありました。たとえば、奇妙な「光の速さ」の謎が相対性理論を誕生させましたし、微小世界の奇妙な振る舞いの謎が、量子力学を生むことになったのです。
 21世紀にもおそらく何度か、科学革命が起こることでしょう。では、21世紀の科学革命の萌芽はどこにあるのでしょう?
 科学の歴史から考えれば、それは「すでにわかったこと」のなかにではなく、「まだわからないこと」のなかにあるに違いありません。本書は、科学革命につながりうる「まだわからないこと」の最新事情を解説した、刺激的な科学書です。

◆解決すれば科学革命が起こること間違いナシ。最大級の謎の数々を解説!

 本書では宇宙論から自由意志、セックス、常温核融合や地球外生命、代替医療までの幅広い分野から、科学革命につながりうる13の謎を選んで解説しています。それらの「謎」が今どんな段階にあり、解決にはどのような方向性があり得るかなど、非常にわかりやすくレポートされています。
 たとえば、「パイオニア変則事象」は宇宙探査機パイオニアが、重力の法則から少しズレた軌道を描いて飛び続けているという問題。これまでにさまざまな理由が考えられましたが、どれによっても説明がつかず、もしかしたら物理学の最重要理論の一つ、重力法則が間違っていることを示しているのかもしれません。
 また、「セックス」も大いなる謎で、生物が有性生殖によって増殖する理由が科学では説明がつかないというものです。どう考えても、単為生殖(性交なしで子をもうけること)のほうが進化上は有利なはずで、生物学者たちは、雌雄が存在したほうが有利な理由を見つけられないでいます。セックスを説明するためには、生物学でもっとも成功した理論である進化論に、大きな変更を加えなければならないかもしれないのです。
 科学の世界は発見のニュースにあふれていますが、実際のところ、科学革命を起こす大発見は、滅多にありません。しかし、その大発見の瞬間には、科学の体系がひっくり返るような大激震が、科学界に広がります。科学革命は、「謎」の解決によってもたらされ、その大激震の興奮は「謎」を知る者にしか味わえません。間近に迫っているかもしれない、21世紀の科学革命の興奮をリアルタイムで感じるためにも、科学に多少なりとも興味をお持ちの方には是非読んでいただきたい一冊です。

●本書で扱う13の謎 
1 暗黒物質・暗黒エネルギー
   ――宇宙論の大問題。でもそんなものは存在しない?
2 パイオニア変則事象
   ――物理法則に背く軌道を飛ぶ二機の宇宙探査機
3 物理定数の不定
   ――電磁力や強い力、弱い力の強さは昔は違っていた?
4 常温核融合
   ――魔女狩りのように糾弾されたが、それでよかったのか?
5 生命とは何か?
   ――誰も答えられない問い。合成生物はその答えになる?
6 火星の生命探査実験
   ――生命の反応を捕らえたバイキングの結果はなぜ否定された?
7 〝ワオ!〟信号
   ――ETからのメッセージとしか思えない信号が一度だけ……
8 巨大ウイルス
   ――私たちはウイルスの子孫? 物議をかもす異形のウイルス
9 死
   ――生物が死ななければならない理由が科学で説明できない
10 セックス
   ――有性生殖をする理由が科学ではわからない
11 自由意志
   ――「そんなものは存在しない」という証拠が積み重なっている
12 プラシーボ効果
   ――ニセの薬でも効くなら、本物の薬はどう評価すべきか?
13 ホメオパシー(同種療法)
   ――明らかに不合理なのになぜ世界じゅうで普及しているのか?

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