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2010年4月21日 (水)

古地図でたどる 鉄道の知恵 線路の不思議

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井口悦男 著

B5判 並製 一二八ページ 一部カラー 定価一九九五円(税込)

成り立ちや路線名、線路の形態など、全国31箇所のおもしろポイントを、地図、時刻表、写真などの秘蔵資料で読み解く、鉄道話あれこれ。

地図・鉄道趣味の碩学がうんちくを傾ける
 著者、井口悦男氏は昭和六年生まれで今年七九歳、慶應中学の地理の先生を勤めたあと、帝京大学教授としてやはり地理、地図の研究を続けてきました。元古地図学会の会長も勤められました。一方で幼い頃から鉄道趣味を持ち、もう七〇年近く興味を持って日本各地の鉄道に乗り、資料を集めて愉しんできました。これまで鉄道関係の著作は出してこられなかったのですが、今回初めて長年の蓄積をまとめて本書として公刊されました。それだけに本書は、地図資料や自分で撮った車両や駅の写真、古い時刻表などが豊富に使われ、実体験も含めた鉄道の歴史の深い薀蓄が愉しめる鉄道書となっています。
全国の注目箇所を通して見えてくる鉄道の歴史
 たくさんの鉄道関連書が現在出ていますが、本書の特徴は珍しい地図資料が満載されている地図・鉄道ファンの必読書というだけでなく、近代日本の歴史や鉄道の発達史が、三一のポイントで実にうまくまとめられ理解されるようになっている点です。東京周辺だけでも東京駅がかなり後から作られたこと、丸の内側の閑散とした感じの由来、池袋駅は山手線ができてから二十年後につくられた新駅であること、新宿駅の小田急と京王の駅の並び方には理由があること、などが書かれていますが、どれも古地図をつかって説明されており、とてもわかりやすくおもしろい。そして何より、近代日本の発展の歴史がそれを通じて見えてくるという点です。
 鉄道の歴史は、基本的に国家の計画と私鉄の思惑との相克の歴史であり、地形克服や技術の歴史といっていいのでしょうが、この三一ポイントでそのことはよく理解できます。この三一ポイントを選び出した著者の俯瞰的な歴史眼と知識に敬服させられます。鉄道・地図・歴史ファンにぜひ読んでほしい好著です。

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