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2010年5月21日 (金)

この世は一度きり

1764










岡野薫子・著

四六判上製/256頁/定価1785円/2010年5月

●80代の今も現役の童話作家がほのぼのと綴る「老い」と「死」
 この本の著者・岡野薫子さんは当年とって81歳。『銀色ラッコのなみだ』に代表される自然に材をとった佳作や、小学校の国語教科書に収録されている『桃花片』などの作品で知られている児童文学の大家ですが、現在も精力的に創作活動を続けています。
「一度きりの人生は、気がつけばもう終末に近づいてきている」。そう述懐する著者の脳裏をよぎるのは、仕事に夢中だった若かりし日の思い出、そして父親の死で暗転した子ども時代のこと。本書ではそうした思い出を随所にちりばめながら、否応なく老いを実感させられる日々の中から生まれた思念を自在に綴っています。これまで生きてきたことの意味、そして、いま生きていることの意味を心の深いところで理解できるのは、人生の終末をしっかりと見据えることができた瞬間なのかもしれない――。そんな思いに駆られる滋味あふれる本です。

[本書から]
●人生の分岐点は多く、その選択は私たちの自由に任されている。その結果がはっきりと表われてくるのが老年期だ。人生の終わりが見えてきたとき、私たちは「自分」という作品をつくってきたのだと気づかされる。
●年齢相応に老いていくのが生き物の自然な姿だと思っていたが、死より厄介なのが「老い」だということに気がついた。老いて体の動きがぎこちなくなると、何をするにも自分の体を意識しないわけにはいかなくなる。
●「さようなら」ではなく「行ってまいります」。晴れやかな心境でこの世から踏み出していきたい。

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