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2010年6月21日 (月)

ソフィー 9つのウィッグを持つ女の子

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ソフィー・ファン・デア・スタップ著 柴田さとみ訳
四六判上製/336頁/定価1680円/2010年6月

●ウィッグと共にガンを乗り越えた女子大生の赤裸々な闘病記
この本は2006年にオランダで出版されるや、奇跡のガン闘病記として忽ちベストセラーとなり、オランダ、ドイツを中心にさまざまなメディアで取り上げられて話題を呼んだ本の日本語版です。上記の国以外にも、フランス、イタリア、ポルトガル、リトアニア……その他、多くの国で翻訳されています。
著者は21歳のときに横紋筋肉腫(悪性度の高い筋肉のガン)と診断され、抗ガン剤の副作用で髪を失います。自分の頭を鏡で見て絶望的な気分になる著者でしたが、ウィッグを着けるようになったことで、その心に変化が起こります。9つのウィッグに9つの名前を付け、ウィッグに合わせてお嬢様、セクシー、乙女チック……といろいろなキャラクターを演じているうちに、いつしか著者はガンとの闘いの中に一種の生きがいを見出していくのです。そして、ウィッグによって生まれた9つの人格と同じように「ガン患者である自分」を受け入れられるようになった頃、彼女の体からガン細胞は消えていました。
いま、日本人の3人に1人はガンで亡くなっています。メディアには病院や治療法にかんする情報が溢れています。しかし患者がガンと闘う過程で直面する苦悩については十分に理解されているとはいえません。それらはときに非常にデリケートな問題を含んでいることもあって、表だって語られることが少ないのです。ウィッグ(かつら)の問題はまさにその一つです。著者は最終的にはガンを克服し、サバイバーとしてガン患者の本音を伝える立場となりますが、そこにいたるまでに彼女を苦しめつづけた若い女性としての生々しい欲望も包み隠さずに綴っているところが、この本の大きな魅力といえます。
ガンになったからこそ手にすることができた、一瞬一瞬を全力で楽しむ力。彼女のどこまでも前向きであろうとする精神が、多くの読者を勇気づけることを願ってやみません。

→本書特設ページへ

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