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2010年7月21日 (水)

世界一空が美しい大陸 南極の図鑑

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文・写真 武田康男
AB判変形[220mm×198mm]/並製/108頁/定価1,680円/2010年7月

◆南極ほど、美しい空の写真が撮れる場所はない
 南極というと、地球環境に関する観測基地や、ペンギンやクジラなどの海洋生物を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、南極は、本書のタイトルどおり、世界一空が美しい場所でもあります。
 南極の空が美しい理由は、大気汚染源である北半球の都市から遠く離れているから、というだけではありません。そのほかにも美しい空の現象を観察するのに都合のいい条件が数多くそろっているのです。
 高緯度なので、夕日や朝日が非常にゆっくりと沈み昇るため、日の出日の入りの瞬間に見られる非常にめずらしい現象「グリーンフラッシュ(緑閃光)」が現れやすいというのもその一つです。また、冷たい風により地表付近が強烈に冷やされるので、空気の密度差により遠くの光景がゆがんで見える「蜃気楼」も頻繁に、広範囲に発生します。そのほかにも、氷でできた雲粒で太陽光が色分かれする現象、極地方ならではのオーロラなど、ほかの場所ではめったに見られない空の現象が、数多く、そして強く、美しく現れるのが南極の空なのです。
 もちろん、これまでにも南極の空の現象は、南極関連の図鑑や書籍に収められてきました。しかし、それらの写真は、気象写真の専門家ではない人が偶然とらえたというものが多く、写真の数や質も、十分だったとはいえません。

◆気象写真の第一人者による科学的な解説
 本書は、これまでに『空の色と光の図鑑』『楽しい気象観察図鑑』『すごい空の見つけかた』などの本を著してきた気象写真の第一人者、武田康男さんによるもの。武田さんが、越冬観測隊員として1年以上を南極昭和基地で過ごしつつ撮影した170点あまりの写真による、南極図鑑です。知識と経験によって、空の現象が現れることをあらかじめ予測し、培ってきた撮影技術をフル活用して撮影された南極の気象写真に彩られた本書は、これまでにない美しい南極図鑑となっています。
 本書は美しいだけではありません。写真にある美しい現象がなぜ起こるのかについて、高校の地学教師でもある武田さんによる非常にわかりやすい解説も魅力です。なかには知識がなければ見逃してしまうような現象を捉えた写真もあり、その写真と解説から、南極の環境を実感することができるでしょう。
 涼しげな南極の写真を眺めながめるだけでも楽しいですし、その写真に写った現象の裏にある、科学について考えてみるのもおもしろいでしょう。この夏、子どもから大人まで、空好き、科学好きの方には是非おすすめしたい一冊です。

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