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2010年7月21日 (水)

お母さん、「あなたのために」と言わないで
――子育てに悩むすべての人への処方箋

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長谷川博一著/四六判/並製/240頁/定価1470円(税込)/2010年7月

「子どものため」という言葉が、子も親も縛りつけている
 素直な「良い子」だったわが子が、突然反抗的になり、口もきかない、問題行動をおこす。親にとっては何が原因なのか、何を解決すべきかさえわからない。思春期の子どもを持つ親のほとんどが直面する難題です。「しつけ」が足りない。「親の理解」が足りない。よく言われますが本当にそうなのでしょうか。
 臨床心理専門家として非常に多くのケースに深くかかわってきた著者は、そうではないと言います。じつは「子どもの問題」は「親自身の問題」だというのです。
「あなたのために」という理屈で、子どもに多くを求め、厳しくしつけ、また親自身も子どものためにすべてを犠牲にする。子どものためだからという思い込みが、実際には子どもも親自身も追いつめて、親子ともども疲弊しきっています。
「あなたのために」の裏には、じつは親自身がかかえる問題やひずみが潜んでいる。その不純な圧力が、子どもを押さえ付けて呪縛し、それをはねのけようと爆発を起こさせている。子どもの問題行動にはすべて理由があり、多くの場合、親の問題を照らし出す貴重なサインであるというのです。

柳美里さんのケースがもつ普遍性を、カウンセラー側から検証

 今年の5月、作家の柳美里さんは『ファミリー・シークレット』(講談社刊)という著書を刊行しました。これは柳さんが受けたカウンセリングの過程がそのまま収載されて話題になっている本です。そのカウンセラーが本書の著者なのですが、本書では2つの章を割いて、カウンセラー側からみた柳さんのケースについて詳細に検証しています。
 柳さんの悩みの中心はお子さんとの関係性でしたが、徐々に自分自身の問題、さらに自分の親との関係へとひろがっていきました。そして柳さんは自身の問題に向き合うことで大きな変化を受け止めていきます。いわば苦しみの中から再生し生き直すような、そこまで降りていかなければいけない問題の深さが、じつは多くの親たち、親子関係においても同じように存在していることに気付かされます。
 子育て、親子関係に悩んでいる方々にとって、マニュアル的な方法論ではなく、ほんとうに大切な問題に気付かせてくれる、貴重な一冊です。

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