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2010年11月

2010年11月22日 (月)

絵で見る 明治の東京

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穂積和夫 絵と文

A5判上製/240頁/定価2100円/2010年11月

建築イラストの第一人者が160枚の絵で描いた明治の街や建築物や風俗。

●『坂の上の雲』などで明治への関心は高まる
 NHKの『坂の上の雲』(司馬遼太郎)の放映などがきっかけで今また明治への関心は高まっているようです。異国からの侵略を防ぎ、近代国家になるべく、がむしゃらに文明開化を行った明治の東京は活気にあふれた、和洋が混在する不可思議な空間でした。さまざまな小説、歴史書で描かれている明治ですが、ここにまた新たな手法でその時代を再現した新鮮な一書が書かれたといっていいでしょう。
 穂積和夫氏はベテランのイラストレーターですが、とくに小社刊『日本人はどのように建造物をつくってきたか』(全10巻)などにみられるように、建築物のイラストでは第一人者といっても過言ではない存在です。本書には築地ホテル館、鹿鳴館、浅草凌雲閣(十二階)、新橋ステーション、三菱一号館をはじめ明治の主要建築物のほとんどが描かれています。現存していないものは、当時の写真や絵葉書、錦絵などの資料だけでなく、たとえば建築家ジョサイア・コンドル(帝室博物館、鹿鳴館などの明治を代表する設計者)の残した図面などまでを参考にして、再現する努力をしています。浅草の日本パノラマ館、活動の神田錦輝館、万世橋ステーションなども珍しい絵ですが、98~99ページのエンデ・ベックマンによる幻の東京都市計画図はとくに面白く読まれるかもしれません。現今の東京市街図と比較して、ありえたかもしれない東京を思い描くのも刺激的です。

● 明治の風俗・風物への愛惜
 著者は昭和五年、東京新富町生まれ。すでに「明治は遠くなりにけり」と草田男がうたった時代に生まれてはいますが、いまだ明治の香りの残っていた下町は故郷と感じています。著者は建築イラスト以外にも、ファッションやクルマなどの乗り物も得意ジャンルです。子どもの遊び、明治特有のファッション、女性の髪型、さまざまな馬車の絵、ランプ、時計台、江戸情緒の残る柳橋、浅草橋界隈など、明治の風俗・風物の細やかなスケッチはいつまで見ても飽きない面白さに満ちています。文章は明治全体の通史でありながら、どういう時代であったかを簡潔に全体として、さまざまなエピソードを入れながら面白く描くのに成功しています。絵と文章あいまって、本書は明治の東京を丸ごと再現した稀有な書といっていいでしょう。歴史好き、地誌好きの人に格好の読み物です。

2010年11月12日 (金)

フェリカの真実
――ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由

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立石泰則著

新書判並製/208ページ/定価1050円/2010年11月

藤波辰爾自伝
――未完のレジェンド

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藤波辰爾・著

46判上製/264頁/定価1680円/2010年11月

稀代の名レスラーが波瀾万丈のプロレス人生を縦横に綴る
 本書はかつて「名勝負製造機」と謳われたレスラーが、プロレス入門40年の節目を迎えるにあたり、自身のリング人生を振り返った半生記です。ポイントごとに終生のライバル長州力選手と、著者の闘いを支え続けた夫人のコメントも収録し、より立体的にその歩みを振り返ることができるようになっています。
 著者は1970年に日本プロレス(当時)に入門し、以来、プロレスというエンターテインメントの浮沈をまるごと体験してきました。また、すでにマット界が「冬の時代」に突入していた1999年から2004年の期間、新日本プロレスの社長を務め、経営者としての苦渋も味わいます。しかし、良いことも悪いことも含めて「あの頃があったから今がある」というのが著者のスタンスです。泥に塗れてもあくまで前に進もうとする姿勢は、かつて著者が繰り広げた名勝負同じように私たちを鼓舞する力に満ちています。

[本書より]
◇ファンが「もっと見たい」と思っているうちに、「名勝負数え唄」を終結させつつ、藤原喜明という新たなスターを誕生させる。あのときには、僕らを上回る策士がいたのだとしか言いようがない。当時の新日本で、決定権を持つ「策士」と言えば、当然、猪木さん以外にはいない。
◇当時、役員会議の席上で「(自分の)後任社長は蝶野がいいのではないか?」と発言したことがあった。やはり、プロレス界はレスラーが先頭に立って旗振りをし、それをみんなでサポートしていくのが理想形だと考えたからだ。
◇「ライバル」だった長州が、この頃から「同志」という感覚に変わっていったように思う。これはたんに長い期間ともに働いたことだけで芽生えた感情ではない。……お互いにメインイベンターとして団体を背負ってきたから芽生えた連帯感なのだ。興行の世界に生きる者として、日々、重い責任を味わった者同士がわかちあえる感覚なのだ。 

南極で宇宙をみつけた!
――生命(いのち)の起源を探す旅

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中山由美(朝日新聞記者)著
四六判並製/240頁(口絵カラ―8頁)/定価1575円/2010年11月

世界一隕石が多く見つかる南極・セールロンダーネ山地での過酷な隕石探しに報道記者として初めて完全密着した女性記者による氷上生活40日間の記録が、このたび一冊の本になりました。

◆昭和基地から600キロ、究極に孤立したセールロンダーネ山地は、南極観測隊史上、最大の「トラウマ」の地!
 セールロンダーネ山地は、1989年に南極観測隊が大事故を起こした「トラウマ」の地。体感温度マイナス30度、無数のクレバス(氷の割れ目)が潜む危険地帯です。本書ではこの極限の地で繰り広げられる隊員たちのリアルな日常が克明に描かれます。孤立環境では、仲間との衝突などチームワークの難しさとそれゆえの大切さを痛感するような事件が起こり、人として生きていくことの意味をあらためて問われていきます。また食事、お風呂、トイレ等の南極の珍しい生活事情にまつわる切実感漂うエピソードも満載です。

◆著者は二度も南極観測隊に参加した実績を持つ“変わり種記者”
 著者は2003年に女性の報道記者として初めて、第45次南極観測越冬隊に同行し460日間の越冬を経験。今回のセルロン同行取材は二度目の南極です。2008年には北極・グリーンランドで、米国観測チームに同行して解けゆく氷床を取材するなど、常に「極地から地球を見つめる」報道を貫いています。

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