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2010年12月20日 (月)

少年の日の思い出
――ヘッセ青春小説集

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ヘルマン・ヘッセ/岡田朝雄 訳
四六判 セミ上製 200ページ カラー口絵 定価1680円

中学国語教科書の定番『少年の日の思い出』の長年の誤訳を正す新訳。
昆虫好きの訳者がチョウの名前などを正確に訳す。

●訳者が長年の「ヘッセと昆虫」研究の成果を結実
 この短編集を編んだ理由の一つは短編『少年の日の思い出』を新訳で出したいという翻訳者・岡田朝雄氏の長年の意図があったからです。ヘルマン・ヘッセ『少年の日の思い出』は戦後すぐ1947年の国定教科書『中学国語』に高橋健二訳で掲載されて以来、今年2010年まで64年間も、各種教科書に採用されている有名な短編小説です。日本で最も読まれた翻訳小説といっても過言ではないでしょう。これはヘッセ自身が昆虫好きの少年であったことを題材とし、少年が友だちのチョウの標本を盗んでしまう体験が苦い悔恨を込めてつづられる青春小説です。訳者も実は自他ともに許す有名な昆虫好きで、高橋健二訳のこの小説に出てくるチョウやガの名前の訳が間違っていることに前から気づいていました。この小説の正確な翻訳を出したいという動機から本書は編まれています。
 訳者の発案で小説に出てくるチョウの標本をそろえ「ヘルマン・ヘッセと昆虫展」を去年より日本各地で行い、また今年はドイツ本国でも開催しました。この本は「ヘッセと昆虫」についての外国にもない研究の成果なのです。

●名作『車輪の下』と同時期に書かれた青春文学

 青春小説といえばヘッセの『車輪の下』はまず真っ先にあげられるものの一つです。今でも繰り返し多くの人に読まれています。この一作だけがもちろんヘッセの青春小説ではなく、すばらしい作品をたくさん書いています。本書に集められた4作いずれも20世紀初頭、1900年から1910年代に書かれ発表されています。『車輪の下』も発表は1916年ですから同時期であり、一連の作品といってもいいかと思います。後期の暗いヘッセの作品群とは違う、第一次大戦以前の最も美しい時代と青春を描いています。『車輪の下』の愛読者なら一度は読んでみたいと思うような切ない青春の思い出を綴った作品を集めてみました。ぜひご一読を。

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