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2011年1月31日 (月)

上田毅八郎の箱絵アート集
――戦艦大和から零戦まで

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上田毅八郎 著

A4判並製 128頁 オールカラー 定価3675円

プラモデルの箱絵師として第一人者の著者の傑作作品集。
精緻で迫力満点の軍艦や戦闘機の絵が満載、マニア垂涎の画集。

● 90歳の著者による集大成
 著者は1920年生まれの90歳、子供の時から絵が好きで、高じて戦後、独学で描いた絵が田宮模型の社長の目にとまり、プラモデルの箱絵を手掛けるようになった。箱絵とは模型の箱の上にカラーで精緻に描かれた船や飛行機の絵のことで、1960年ごろより登場したプラモデルに夢中になった戦後の多くの少年たちの胸をときめかせたものである。この本はこれまで6000枚の作品を描いてきた著者の傑作選である。
 著者は小学校を卒業後、家業の塗装業を手伝い、ペンキ職人をしていたが、20歳で召集され、船舶砲兵として3年8カ月つとめ、26隻の船に乗り、6回も沈没させられた。利き腕の右手を負傷、戦後は左手で絵を描くようになった。戦中は勤務の合間に軍事郵便はがきに船や飛行機の絵を描いていた。プロになってからはこのときの実体験やスケッチが役に立っている。特にここに集められた軍艦の絵は体験者にしか描けない迫力に満ちている。

● 戦艦もいいが、輸送船や工作艦などに味がある
 上田毅八郎の名前は田宮模型をはじめとして4社共同企画の「ウォーターライン」シリーズという帆船などの模型シリーズの箱絵で有名となった。ウォーターラインとは船の喫水線のことで、海上に浮かんだ船の模型である。本書でもお分かりのように、著者の得意とするところは船そのものだけでなく、波や空を含んだ全体の状況を描くのがとても巧みである。これは実際に乗船体験があり、船と海のすべてをよく知っている著者ならではの表現であり、そこが多くのファンの心をとらえたともいえる。本書ではそのあたりのコツ、絵を描く時のポイントなども披瀝している。また写真も満足に残っていない輸送船や工作艦などのマイナーな船をたくさん描いていることも注目される。戦艦大和や武蔵だけでなく、著者にしか描き得ないこうした作品群に惹かれる人も多いのではないか。これらは先の大戦で散った無名の兵士への鎮魂の意味でも描いていると著者は述べている。まことに素晴らしい画業の精華ではないでしょうか。

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