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2011年2月21日 (月)

2011年版 鉄道事情トピックス

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川島令三【著】


四六判/並製/208頁/定価1680円(税込)/2011年2月


鉄道アナリストの川島令三氏が

ファン待望の「年度版」鉄道事情シリーズを創刊!


弊社刊の『全国鉄道事情大研究(シリーズ)』などで著名な川島令三氏による、初の「年度版」鉄道事情シリーズが、ついに登場した。

本書では、昨今の鉄道をめぐる様々なトピックを取り上げる。たとえば、東北新幹線や九州新幹線鹿児島ルートの全通、阪神なんば線の開通、成田スカイアクセスの開業/富山、福井、札幌、岡山などでのLRT化への動き/リニア中央新幹線計画の今後の成り行き/軌間可変電車(GCT)は果たして実用化されるのか、実用化されないとき西九州新幹線(九州新幹線長崎ルート)はどうなるのか/相鉄のJR・東急との直通後の運転系統はどうなるのか/なにわ筋線の建設計画の帰趨は?/新幹線のさらなる高速化で空路とのシェアはどう変わるのか……などのほか、JRのダイヤ改正や各種新車両への批評にもページを割く。

 鉄道アナリストとしての著者の基本的なスタンスは、利用者にとって使い勝手のよい鉄道が望ましいという観点から「具体的な提言」をすることである。著者のデビュー作『東京圏通勤電車事情大研究』(草思社刊、1986年)で、すでに貨物線の旅客線化を提唱している。当時、埼京線が新宿まで開通していたが、湘南新宿ラインや成田エクスプレスなどは走っていなかった。東武日光線とJRとの相互直通による新宿―東武日光間の列車の運転についても提唱し、実現している。

 著者は新技術なら何でも採用せよという楽観主義者ではない。たとえばGCT。西九州新幹線はGCTの実用化が前提になっているが、GCTには軌間の変換で時間をロスする、バネ下重量(車輪と車軸等の重量)が大きいので軌道を傷める、したがって路線の保守に余計な時間がかかるといった欠点がある。最高速度も270キロと、他の新幹線車両よりもかなり低い。そのため、特に軌道の保守面からは採用しがたい車両である。つまり、GCTを走らせるのではなく、やはり標準軌にして、これまでのような新幹線車両を走らせたほうがよい、ということになりかねない。GCTの採用については、著者は慎重である。

 ちなみに、日本の新幹線とフランスのTGVとの比較では、著者は専用の軌道を走る日本の新幹線のほうが総合的に見て優れていると評価している。

 本書には、昨今の鉄道界の重要トピックに対する「的確で鋭い分析・批評」のみならず、「将来への具体的提言」が数多く盛り込まれている。鉄道ファンはもちろん、鉄道業界をはじめとする運輸関係者にもぜひとも読んでいただきたい一冊である。

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