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2011年6月24日 (金)

図鑑 世界で最も美しい蝶は何か

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海野和男 写真と文
B5判 上製 136頁 オールカラー 定価3360円 2011年6月24日

アマゾン奥地の宝石ミイロタテハか? 青く輝くモルフォチョウか?


●やはり「美しい蝶」は昆虫好きの憧れ

 この本は世界の美しい蝶を集めて解説した図鑑です。著者の海野和男氏は、ご存知のとおり日本を代表する昆虫写真家の一人で、これまでさまざまな昆虫関連の本を出していますが、今回のように「世界の美しい蝶」だけをとことん追求してまとめた本は初めてです。氏は少年時代からの昆虫好きですが、やはり蝶には格別の思いがあるらしく、かつて図鑑を見て憧れた南方の豪華、華麗な蝶たちを、大人になってからは現地を訪ねて採集したり、写真に撮ったりしてきました。この本はその集大成でもあり、夢の実現でもあります。

●ミイロタテハをこれほど集めた図鑑はない
 この本には世界三大美蝶といわれるミイロタテハ(アグリアス)、モルフォチョウ、トリバネアゲハをはじめとして、キシタアゲハ、カラスアゲハをその亜種とともに400種ぐらい収めています。とくにミイロタテハは18~19世紀に欧米の収集家が熱狂し宝石扱いされたアマゾン流域の蝶ですが、この本には100種ぐらいの写真を載せており、これだけ多くの写真を載せた図鑑は世界にもないそうです。有名なパリのフルニエコレクションを撮影した写真を一部使っています。
 著者は実は一番美しいと思っている蝶はこのミイロタテハのサルダナパルスという亜種だと書いています(P27)。ジャングルの奥深く高所を飛んでいるので捉えるのは難しいが、人糞のトラップで捕まえるという話は、究極の美と人糞の対比で意外でもあります。またミイイロタテハの幼虫はコカの葉(コカイン)を食べるということで、毒蝶ではないか、だからあれほどの華美な色彩を持つのではないか、という考察も興味深いものがあります。
 世界最大の蝶アレクサンドラトリバネアゲハの原寸大の写真(P70~71)、世界で初めてメスの標本を自身採集したルソンカラスアゲハの写真(P112)、人類学者ウォーレスが興奮して採ったオレンジ色のトリバネアゲハ(P68~69)など面白い写真がこの本にはたくさん収められています。いずれにしろ、当代一流の昆虫写真家が撮ったたくさんの美しい蝶の写真、その素晴らしい色彩、多様な変化、デザイン、形態を見ているだけで見飽きることがありません。昆虫好き、自然愛好家にとって、素敵な贈り物ではないでしょうか。

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