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2011年8月19日 (金)

アベベ・ビキラ
――「裸足の哲人」の栄光と悲劇の生涯

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ティム・ジューダ著 秋山 勝訳
四六判/上製/240頁/定価1890円(税込)/2011年8月

アスリートの尊敬と称賛を一身に集めた走者の劇的な人生
 1964年、東京オリンピックで日本人に鮮烈な印象を与えた「アベベ選手」。その4年前のローマ・オリンピックに初出場し、なんと「裸足」で走って新記録で初優勝を勝ち取った「無名」の選手でした。東京での優勝で史上初の五輪二連覇を達成。寡黙で禁欲的、ただひたむきに走りつづけるその姿は「哲人」と称され、いまなお多くのアスリートの尊敬を集めています。
 本書のこの稀有の走者の生涯を、その陰で支えたスウェーデン人コーチ・ニスカネンの姿とともん、数多くの関係者の証言をもとに描きあげた傑作ノンフィクション作品です。
 アベベ選手の生涯は、しかし栄光に満ちた前半生ののちに悲劇に見舞われた後半生が待っていました。寡黙で多くを語らないという印象の対極をなすように、彼の人生はあまりにも劇的だったのです。

エチオピア親衛隊、五輪二連覇、試合の棄権、自動車事故、そして死…
 アベベは帝政エチオピアの最後の皇帝ハイレ・セラシエの親衛隊員でした。第二次大戦にイタリアに侵攻されたエチオピアの兵士が、その「ローマ」の大会で勝利を勝ち取る。しかもそれは五輪大会で初めてのアフリカ人の勝利でもありました。そのことの意味は非常に重いものがありました。
 続く東京大会で二連覇(円谷幸吉や鬼塚喜八郎のエピソードも記されます)。さらに次のメキシコ大会では前人未到の三連覇の期待がかかります。しかしアベベは決勝の途中で棄権。いったい「哲人」に何があったのか。やがて、かつて五輪優勝の報奨としてもらった自動車で事故にあい(謀殺説もある?)、地上最速の走者だったアベベ選手は車椅子の生活を余儀なくされます。そして間もなく迎えた孤独な死……。
 事実はフィクションよりも奇にして、時に残酷です。マラソンという哲学的ともいえる競技に人生をささげた傑人のあまりにドラマチックな生涯を、あますところなく描いたノンフィクション作品をどうぞご一読ください。

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