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2012年10月22日 (月)

映画プロデューサー風雲録
――思い出の撮影所、思い出の映画人

1932

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升本喜年(ますもと・きねん)著

四六判 上製 416ページ 定価3045円

名物プロデューサーが多くの映画スターとの交友、映画全盛時代の裏話などを回想。
不思議で、魅力的な映画人たちの生態、素顔。

●サラリーマン・プロデューサーの奮闘と悲哀
 昭和29年(1954)、著者は早稲田の大学院を卒業して、松竹大船撮影所にプロデューサー助手として入社しました。同年、松竹は『君の名は』や『二十四の瞳』などをヒットさせ映画界一の隆盛を誇っていました。ほぼ同時期に助監督として入社した中に、大島渚や山田洋次がいます。その後、大衆娯楽の王者、映画はテレビにその座を追われ、昭和33年(1958)をピークに下り坂を迎え、斜陽産業となっていきます。著者はその中で、松竹映画のサラリーマン・プロデューサーとして、現場の雑用係からはじめて、1960年代から70年代の娯楽映画を企画し、推進する中核のスタッフとなって行きます。その三十年を越えるキャリアを多彩なエピソードを交えて綴ったのが本書です。
「監督中心主義」の松竹でプロデューサーの立場が、いかに低かったかの述懐からはじまる本書では、古色蒼然としたシステムがまかり通る撮影所、過去の栄光にすがる古参の脚本家や監督たち、企画に詰まり悪手ばかりを打つ経営者などが描かれます。そして苦境打開のために、経営者・城戸四郎の意に逆らい、伝統の文芸映画から喜劇、歌謡映画、アクション映画などへの方針転換に奔走し、一定の成果を挙げた氏の最も華やかだった10年余が活き活きと回想されています。しかし、それも突然のテレビ部門への異動で終わりを告げ、最後はテレビ映画作りの実態などが描かれます。

●映画プロデューサーの仕事、映画人たちの意外な素顔
 本書の特徴として一つには、企業内プロデューサーではあるものの、映画プロデューサーというものが、どういう職業で何をするのかということが具体的に書かれていることです。これは貴重な記録といえましょう。
 もう一つは著者が関わったり見聞した多くの映画スターや映画人が登場し、その人となりや素顔が興味深く描かれていることです。
 名前を列挙してみましょう。俳優では美空ひばり、吉永小百合、渥美清、山田五十鈴、田宮二郎、渡哲也、高橋英樹、安藤昇、鶴田浩二、萩本欽一など。監督では大島渚、山田洋次、渋谷実、木下恵介、小林正樹、野村芳太郎、加藤泰など。脚本家では、池田一朗(隆慶一郎)、池田忠雄、野田高梧など。その他に、有名無名の業界人も多数登場します。
 日本映画裏面史としても、興味津々の読み物となっています。

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