« 2013年版間違いだらけのクルマ選び | トップページ | 可能性の大国 インドネシア »

2012年12月 6日 (木)

イスラム哲学とは何か
―― 宗教と哲学の攻防

1944

1944_2













オリヴァー・リーマン著 佐藤陸雄・訳

46判上製/456頁/定価3990円/2012年12月

◇イスラム教徒の行動原理を読みとくために必読の一冊◇
 本書は、イスラム教徒の価値観のもととなっているイスラム哲学について論点ごとにまとめた本です。いまやイスラム圏の人口は世界の人口の2割強を占めているにもかかわらず、その行動原理については欧米でも日本でも「排他的な一神教」というステレオタイプな見方が一般的で、彼らの精神性への理解は十分とはいえない状況です。イスラム哲学に通暁する著者は、「厳格な一神教の教義が、理性を圧倒して近代化できなかった」という従来のイスラム理解の枠組を脇に置いて、イスラム哲学の今日的な意味を考察しています。イスラム哲学とは、知を愛する人々のあいだで展開された「論争」である――という定義のもと、著者は今日のイスラム教徒をとりまく問題とも関連づけながら、イスラム哲学の全体像をみごとに提示していきます。古代ギリシア哲学を受容し、中世においては世界最高水準の文明であったイスラム世界の知識人たちが頭を悩ませたのは「いかに自分たちのアイデンティティを保持するか」という問題でした。そしてこの問いは現在のイスラム世界の人々が直面している問題であることが、本書の最終章、および日本語版のために著者が書き下ろした追論(「アラブの春」と日本の大震災)から浮き彫りになってきます。イスラム理解のために必読の一冊といえましょう。

  [本書より]
●イブン・ルシュドの時間論 
●神は何をすることができるのか
●「科学」としての神秘主義 
●実存について~イブン・ルシュド対イブン・シーナー
●イスラムにおける歴史の解釈 
●「ジハード」の現代における政治的な重要性
●アル・ガザーリーはイスラム哲学を葬ったか 
●ユダヤ人とムスリムの近代への反応

« 2013年版間違いだらけのクルマ選び | トップページ | 可能性の大国 インドネシア »

書籍・雑誌」カテゴリの記事