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2013年1月

2013年1月21日 (月)

こんなにちがう中国各省気質
――31地域・性格診断

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高橋基人(たかはし・もとひと)著

四六判 並製 288ページ 定価1680円 2013年1月

「反日」の裏にある、ほんとうの中国人の暮らし、性格。
ビジネス、観光、中国に関心を持つ人に、役に立つ必読書。

●ダイキン・エアコンの元中国部長によるユニークな中国人論
 本書の著者、高橋基人氏はかつてエアコン大手のダイキン工業に勤め、中国でのダイキンの進出に大いに腕をふるったビジネスマンです。中国部長などの要職をつとめた中国通で、現在でも多くの中国人と親交をもち、たびたび中国を訪れています。本書はその中国通による中国各地の民族気質を自らの体験や中国人からの取材で知った話などを交えて綴ったものです。中国と一口に言っても、とてつもなく広い。北は東北地方から南は海南島まで、東は沿海部から西は青海省、チベットまで、住んでいる民族もちがえば、文化もちがいます。そもそも顔がちがうし、食物がちがいます。
 昨年から激しい「反日デモ」が噴出し、日中関係はかなり厳しいものになっていますが、そうした政治的な関係の向こうで何千年も繰り返されてきた庶民の暮らしはまた全く別物です。各省にどんな人が住み、どんな暮らしがあるのか。決して一枚岩ではない中国の現状が見えてきて新しい視点が見つかるかもしれません。著者得意の分野でもあるチャイナビジネスにも役立つ話がたくさん詰まっています。

●各省気質から今の中国を見てみると
 河南省人についてはこんなふうに書かれています。「大都市の企業は、どこも河南人と一緒に仕事をするのを嫌がる。筆者も、『河南人、とくに鄭州人が後ろに近寄ってきたら注意しなさい』と何度も中国の友人から聞かされた。『騙されるぞ』という忠告である」。
 海南省については「南国のリゾートらしく、海南島は色情のあふれる土地柄だ。行けばわかるがホテルに入るや、女性が群がり寄ってくる。『ただし性病が多いから気をつけろ』も噂だけではなさそうだ」。
 最近、民主化を唱えるメディアが弾圧された広州人については「広東売国」という言葉を引用しつつ、著者が初めて広州に行った時のエピソードを紹介しています。「広州の立派な経済人がこぞって、『この国はいずれ分裂する』といった話題から始まった。『四つに分かれる』『いや七つに分かれる』と侃々諤々。つまり、彼らは、自分たちの国を信用していないのだ」。その土地土地の特徴や文化をジョークを交えながら巧みに紹介する著者の語り口はとても楽しい。しかつめらしい政治談義を超えた文化論として中国を語ることもいま必要だろうと考えさせる一冊です。

声に出して読みたい親鸞

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齋藤孝 著

四六判 並製 224ページ 定価1470円 2013年1月

親鸞は声に出してこそ沁みてくる。
現代に生きる親鸞の知恵。

●親鸞を声に出して読んで現代に活かそう
 親鸞は古くから日本人の心を捉えてきた宗教家であり思想家です。浄土真宗の仏事などでお経として読まれていますので馴染みは深いはずです。しかし、その真意は完全に理解されているとは言えません、有名な「善人なおもって往生をとぐ、いわんや悪人をや」にしても、「他力本願」という言葉にしろ、わかったようで十分に納得はできていないでしょう。しかし、中世以来あれほど人びとの心に訴えてきたのには、それだけの魅力があるのです。本書は『声に出して読みたい日本語』(草思社刊)以来、朗読や暗誦の意義について強調しつづけてきた齋藤孝氏が、親鸞を取り上げ、古典中の古典とも言える『歎異抄』を中心として「和讃」「教行信証」などの著書の中から代表的な100語を選んで解説を加えたものです。親鸞は声に出して読むことで理解が深まる。なぜなら親鸞はあなたに語りかけてくる「一対一」の関係を常に心がけているからです。

●なぜ善人より悪人の方が救われるのか
 有名な「善人なおもって往生をとぐ、いわんや悪人をや」は齋藤氏の解説ではこうなっています。「切実さが強い者ほど救われる度合いも強くなる。自分は罪深い人間であるという自覚が強いほど、往生の道は近いということです」。きわめて簡潔にわかりやすく説明してくれます。また現代でリストラにあって失職した人の例を引いたりして、その具体的な比喩もわかりやすい。親鸞は「南無阿弥陀仏」、ただこの六文字を唱えよ、と説きます。ただこの六文字が心の静けさをもたらし、自らを恃む「自力本願」を捨てて、阿弥陀仏に帰依する「他力本願」に至るからだということです。災害や経済不況や恋愛など自らの力ではいかんともしがたいことで悩む多くの現代人に、まず自分より大きな阿弥陀仏のような存在に身を委ねてみると、心は軽くなるということでもあります。ほかに「臨終待つことなし、来迎たのむことなし(覚悟を決めた瞬間にもう救われているのだ)」「地獄は一定(いちじょう)住処ぞかし(地獄以外に住みどころはないのです)」など有名な言葉がたくさん本書には詰まっています。

2013年1月17日 (木)

[新訳]ヒトラーとは何か

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セバスチャン・ハフナー 著 瀬野文教 訳

四六判並製/320頁/定価1890円/2013年1月

●独自のヒトラー解釈で話題を呼んだ名著がさらにわかりやすくなって登場!●
 学歴も職歴もなく、友人もろくにいなかったボヘミアン的な人物が、またたくまに世界でもっとも知的な国を牛耳ることに成功したのはなぜか? 本書はヒトラーと同じ時代を生きた稀代のジャーナリストが、名人芸ともいえる筆致でヒトラーの成功と転落の経緯を描いてみせたヒトラー論の決定版ともいえる一冊です。原書は1978年にドイツで刊行されるや忽ちベストセラーとなり、日本語版も翌1979年に翻訳されて以来、今日まで版を重ねてきました(累計25刷)。
 1933年(ナチスが政権を握った年)にヒトラーに反対していた人々の大半を1938年には味方にしていた、と著者は書いています。ドイツ経済の再建と外交の勝利によって、「そうは言うが、あの男は何もかもやってのけたじゃないか」という空気がドイツを覆っていたというのです。こうした叙述からもわかるように、著者の強みは「あの時代」の空気を吸い、人々の姿をつぶさに観察していた点にあります。大衆を熱狂させた力の源はなんだったのか、その世界観の大きな矛盾、そもそもナチス国家を準備した時代状況とは……こうした興味の尽きないテーマが次々と俎上にのせられ、みごとにさばかれていきます。本書のヒトラー論が浮き彫りにするデモクラシーの機能不全やポピュリズム、グローバリズムとナショナリズムの相克といった問題は、今日の日本人にとっても他人事ではありません。いまだからこそ読んでおきたい本です。

【目次から】
30歳、無職、職歴なし/ひらめきで勝負する「仕事嫌い」/経済オンチがドイツ経済を再建できた理由/ドイツ人が陥った自己欺瞞のスパイラル/ヒトラー最大の敵はドイツの保守勢力だった/左翼的ポピュリストとしてのヒトラー/ヒトラーが見誤った各国の「反ユダヤ感情」/もし20世紀にヒトラーがいなかったら/ヒトラーはなぜアメリカと戦ったのか/大衆のノスタルジーと合致した「生存権」構想/ニュルンベルク裁判の矛盾/ヒトラーの罪は「戦争犯罪」ではない/ドイツ人への失望と復讐

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