« 階級「断絶」社会アメリカ
――新上流と新下流の出現
| トップページ | 「日本国憲法」廃棄論
――まがいものでない立憲君主制のために »

2013年2月21日 (木)

新潟明訓野球の秘密
――高校野球監督29年で教えられたこと

1956_2

1956













佐藤和也(さとう・かずや) 著

四六判 並製 208ページ 定価1680円


「体罰」教育とは正反対の「笑顔でのびのび」の教訓をつかんだ名物監督の回想記。

●名物監督の29年の苦闘の歴史
 著者の佐藤和也監督は新潟市にある私立新潟明訓高校の野球部監督として29年間の長きにわたり指導を続けてきました。弱小の高校野球部を率い、現在では甲子園の常連校に名前を連ねるほどの存在に育て上げ、その情熱と指導力は高校球界では知らないものはいない名物監督です。雪国で、しかも進学校でというハンデがありながら、県大会を勝ち抜き、甲子園で勝ち進むというのは並大抵の努力ではできません。現在、強豪校は優秀な中学生を特待生として集め、ただ勝つことだけに専念しているというのにです。ここに描かれるのは甲子園優勝の赫々たる戦績の有名校ではないが、雪国の普通の野球部がいかにして強くなったかの歴史です。

●ドカベンの明訓と名前が同じ訳
 水島新司氏の人気野球マンガ『ドカベン』の高校も「明訓高校」という名です。これは水島少年が新潟在住のとき、自宅の近くに明訓高校があり、野球少年として憧れていたからだそうです。残念なことに水島氏の夢は果たせず、漫画家になって『ドカベン』に明訓の名前をつかったそうです。それもあってか、新潟明訓の名前は全国的に知られるようになりました。

●地元に根ざす、笑顔でのびのびがキーワード

 佐藤監督の指導法は「雪国」のハンデで苦しみながら、雪の中でも練習をしてしまえと開き直ったところから発しています。雪の中で水を吸った重いボールを打ち続けたり、シャドウノックをしたりといった工夫から始まり、各地の高校野球監督との交流から新しい指導法を考え出してきました。特に「笑顔の野球」というキャッチフレーズは、苦しんだ末に生徒に教えられた重要なキーワードです。現在、体罰や叱責でチームを強くする指導法に批判が加えられていますが、氏の指導法はこれとは全く逆です。スランプに陥って抜け出せない時に「笑顔で」「のびのびと」やることで突破できることを生徒との交流の中から氏は教えられました。本書は「教育」と一体となった高校野球の原点を知るためにも有意義な書です。

« 階級「断絶」社会アメリカ
――新上流と新下流の出現
| トップページ | 「日本国憲法」廃棄論
――まがいものでない立憲君主制のために »

書籍・雑誌」カテゴリの記事