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2013年2月20日 (水)

階級「断絶」社会アメリカ
――新上流と新下流の出現

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チャールズ・マレー著 橘明美訳
46判上製/560頁/定価3360円/2013年2月

◇発売と同時に全米で大論争が巻き起こった話題の書◇
 本書は米国のシンクタンク「アメリカン・エンタープライズ研究所」の政治・社会学者チャールズ・マレーの集大成ともいえる著書で、発売と同時に全米で大論争を巻き起こしました。議論を呼んだ理由ははっきりしています。著者がデータを駆使して明るみに出した内容があまりに衝撃的だったからです。それは「誰もが何となく気づいてはいたが、見て見ぬふりをしてきた」現実を明らかにしてしまったから、ともいえます。要約すれば、アメリカがいまや人種ではなく階級によって分裂しているということ、しかもそれは従来いわれてきたような経済格差である以上に文化的・モラル的な格差であり、アメリカ国内にまったく価値観が異なる二つの国民がいるような状態になっている――ということです。
 アメリカ社会についてはこれまで、「退廃的な一部エリートと、家族や信仰を大事に生きる健全な庶民」という構図で語られることが多かったのですが、本書によればそれは誤りで、「エリート層がアメリカの伝統的美徳を維持している一方で、労働者階級はそれを失いつつある」と結論づけています。この半世紀の間に、「働かない、結婚しない、コミュニティに参加しない、教会にいかない」人々が白人労働者階級に急増して、アメリカ社会を崩壊の危機にさらしている、という状況が本書によって詳らかになるのです。
 リバタリアンの論客として知られる著者は、格差を縮小させるためにヨーロッパ型の福祉国家モデルを採用すれば、社会の分裂はさらに進むと警鐘を鳴らしています。政府による保護が手厚くなればなるほど、それを欲する人々が増え続けるという指摘には非常な説得力があります。アメリカ社会が直面している分断状況は、日本にとっても決して他人ごとではありません。まっとうな社会の再生に何が必要なのか。本書は、格差をめぐる議論にきわめて根源的な視点を提供する一冊といえます。

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