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2013年2月13日 (水)

数学小説 確固たる曖昧さ

1955

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ガウラヴ・スリ&ハートシュ・シン・バル
東江一紀 訳

四六判/並製/480頁/定価2,415円/2013年2月

◆この世界の“確かさ”を探究する、数学青春小説
 本書は古代から20世紀までの数学の歴史を辿りつつ、若者たちがこの世界の“確かさ”を探究する数学青春小説です。
 インドからアメリカに留学した青年が偶然、祖父の暗い過去を知ってしまうところから、物語ははじまります。数学者だった祖父は若いころ、1919年にアメリカで逮捕され、拘置所にいたことが明らかになるのです。逮捕の理由は、神の冒涜を禁じた州法に触れた疑い。青年はその顛末を知ろうと、祖父が獄中で判事と繰り広げた数学対話の記録を読み始めます。
 数学的真理以外認めなかった祖父、信仰心厚い判事、生きる意味を求める友人、何にも情熱を傾けられない「わたし」。祖父の過去を追ううち、数学が人々の世界観・人生観を揺るがしていきます。数学に、人生に、絶対的真理は存在するのでしょうか?

◆古代から現代への数学の歩みを物語として追体験する作品

 小説とは言え、本書に出てくる数学はすべて本物です。ピタゴラスやユークリッドといった古代ギリシャの数学者から、ガウスやリーマン、カントールといった19世紀~20世紀の数学者までの業績がたくみに物語に折り込まれ、数学に関する知識がなくても理解できるよう書かれています。読者は、数学者たちが論理を展開・敷衍することで導きだし、数学者自身が驚愕した研究結果を、物語として追体験することになります。そこに見いだされるのは、論理だけで構成された冷たい数学ではなく、人生を賭して挑んだ数学者たちの驚きや失望、歓喜に彩られた生々しい数学の姿。非ユークリッド幾何学や集合論といった数学そのものが物語をドライブしていく原動力となっているので、読者は数学の魅力にどんどんとひきこまれていくことでしょう。
 数学に興味のある方にはもちろん、「真理とは何か」「証明とは何か」「思考に限界はあるのか」という素朴な疑問を抱いたことがある人なら誰でも楽しめ、さわやかな読後感に浸れる一冊です。

 

全米出版社協会最優秀数学専門書学術書賞受賞作品

A Certain Ambiguity: A Mathematical Novel
Gaurav Suri & Hartosh Singh Bal

 

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