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2013年6月19日 (水)

米・中・ロシア 虚像に怯えるな
――元外交官による「日本の生きる道」

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河東哲夫(かわとう・あきお)

四六並製 二五六ページ 定価一九九五円

武装中立か?核武装か?日米同盟堅持か?
アワてない、常識にもとづいた日本の選択。

●極端に走りがちな言論に、目を覚ませと警告
 元ウズベキスタン大使を務めた外交通の著者が、日本の進むべき道を本音で綴った政治・外交エッセイです。いまや日本の外交は、中国の台頭によって激しく揺れています。反中、嫌中、親中の意見が入り乱れ、また一方で、反米、嫌米、親米も激しく論議されています。冷戦の終焉やグローバル経済の進展によって、日本の進むべき道は定かならぬものとなっています。特にネット右翼による反中の激しい扇動、また戦後の対米従属外交への怨みに満ちた反米の左翼的言説などが、世論を惑わせつつあります。しかし、ひとたび冷静に立ち返ってみればわかるでしょうと、著者は言います。常識的な判断からすれば、日本の安全保障はどうすれば保たれるのか。核武装することなのか。武装中立なのか。等距離外交なのか。外交官としての三〇年以上の体験や、現地の人との交わりをもとに考察した結論と外交論が本書なのです。

●米・中・ロシアの行動原理を歴史的・体験的に解読
 アメリカへの不信感が一部マスコミを覆っています。イラク戦争の経過や、中国との頭越し外交、荒れ狂う金融市場主義などが日本国内にアメリカは頼りになるのか、戦後対米従属を清算しろという言説を密かに流布させています。しかし、本当にアメリカはそういう国なのか。かつて日本を対米戦争に引き込み、原爆を落とし、占領した国家であるが、一党独裁の中共よりも、またエネルギー外交を進める強権的ロシアよりも、まだマシではないのか。三つの大国の狭間で生きるしかない島国日本の安全はどう保たれるのか。また明治維新時に戻ってしまったかのような現今の状況のなかで、地政学的視点や歴史的な三大国の行動原理の分析(ここがものすごく面白い)を通じて、政治主義的な偏りのない一般庶民の納得の行く結論を導き出す著者の論旨は明快です。
 参院選を控え、日本の進路をめぐって大いなる政治の季節を迎える今、本書は極めて興味ある論点や視点を提示しています。ぜひ一読してください。

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