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2013年9月18日 (水)

最重度の障害児たちが語りはじめるとき

1999

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中村尚樹著
四六判/上製/320頁/定価2310円(税込)

「言葉をもたない」はずの子どもたちの豊かな表現
 生まれたときから重い身体障害と知的障害をあわせ持つ「重複障害」と呼ばれる子どもたちのなかで、会話はもちろん意思表示もできない重度の子どもたちは、周囲のこともわかっておらず、そもそも「言葉」を持っていないと思われていました。
 八巻緩名(かんな)さんもそうした最重度の重複障害児でしたが、9歳のとき、パソコンを利用する装置によって、生まれてはじめて自分の気持ちを言葉で表現したのです。
「かんなかあさんがすきめいわくばかり」
 これがその文章でした。國學院大學教授の柴田保之先生が、わずかに動く緩名さんの右手に注目して、その動きで作動する装置をつくったところ、まったく予想もしなかった「言葉」が紡ぎだされたのでした。

重度の障害者たちの環境、そして、「人間と言葉」という問題
 この柴田先生のかかわった事例をはじめ、「言葉をもたない」と思われていた障害者たちが語りはじめるその現場を取材し、さまざまな意思表示の方法や、それをサポートする人たちの姿を、ていねい描いたノンフィクション作品です。
 日本国内のみならず、海外で行われているさまざまな手法をも紹介し、重度の障害者のおかれている現状と社会問題への考察もおこなわれます。と同時に、障害者のコミュニケーションの問題、さらには人間にとっての「言葉」というものの意味をも深く考えなおす契機を与えてくれる力作となっています。
 ぜひ広く多くの方に読んでいただきたい一冊です。

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