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2013年12月11日 (水)

愉しい落語
――江戸以来四百年、そして未来へ

2025

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山本進(やまもと・すすむ)

四六判 並製 288ページ 定価2100円

●落語は人間の本質を抉るもの、まだまだ伝統は続く
 落語は何度聞いても面白い――なぜだろう。それは人間の本質を抉るものだから、というのが著者の答えです。そんな落語に60年以上もとりつかれてきた「なんの肩書きもない市井の一介の落語好き」を自称する著者が誰にもわかりやすく説いた落語入門書です。
 戦後すぐの東大落語研究会時代から落語との付き合いははじまり、名人六代目三遊亭圓生の聞き書き(『寄席育ち』など)、八代目林家正蔵の聞き書きなど、著者は落語関係の重要な著作を多数手がけてきました。落語研究家、芸能史研究家として当代の第一人者といっても過言ではない存在です。80歳をすぎた現在でも落語を聞きに毎日寄席、ホールに出かける氏は落語はまだまだ続くと将来には楽観的です。

●落語の歴史、研究史などがよくわかる落語ファン必読の書
 この本は江戸、明治、大正、昭和とつづく落語の歴史を簡略に述べていますが、それとともに安藤鶴夫、正岡容など落語評論が確立された頃からの研究史を語っている点が同時代の証言としてとても興味深い。東大落語研究会のOBたちを中心にして『落語事典』が作られ落語のネタが何本あるかの確定や、三遊亭や柳家などの流派の系譜(何代目か)の確定などが行われ、戦後の落語隆盛の基礎が学問側からも築かれました。もちろん花形は演者であり、人気落語家(談志、志ん朝、円楽など)の存在があって初めて落語ブームは招来されたのですが、東大・早稲田の落語研究会や市井の好事家たちが落語を文化として伝えるために果たした役割は大きい。著者はその代表的なひとりであり、落語を知的な文化として捉えることが落語をより楽しめることにつながるとする――そうした楽しみ方を教えてくれる本書は格好の入門書なのです。

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