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――両国生まれの実体験をもとに »

2014年2月19日 (水)

百姓たちの水資源戦争
――江戸時代の水争いを追う

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渡辺尚志・著   
四六判・上製/272頁/定価(本体1800円+税)

水を法外に奪う村と猛反発する他村との、生存をかけた熾烈な戦い!
河内国で300年続いた水利闘争を一次史料から詳細に読み解き、江戸時代の水争いの諸相を網羅する

 江戸時代の百姓たちにとって、川や池からの農業用水の確保は死活問題でした。近隣の村々は用水組合を結成して円滑に取水するためのルールをつくりますが、水不足の際には、用水路の幅を勝手に拡げたりして水を過分に奪う村が現れ、他村との激しい対立を生み、領主や幕府のもとでの訴訟闘争に発展しました。

 本書では、江戸時代の優れた用水・治水の知恵や水争いのパターンを網羅的に押さえつつ、ケーススタディとして、現在の大阪府域の村々の300年にわたる水争いの歴史を一次史料から詳細かつ分かりやすく読み解いていきます。中世には暴力によって解決されていた水争いが、江戸時代には交渉や裁判によって解決されるようになり、明治維新を迎えると、土地所有者しか水争いに参画できない状況へと変容していきます。

 水争いが頻発する背景には、水資源の希少化がありました。江戸時代は、ヒトと自然が調和した理想的なエコロジー社会ではなかったのです。そのなかで、百姓たちは、いかに資源を有効かつ持続的に利用するか知恵を絞りました。水争いとは、その過程で起こった軋轢(あつれき)なのであり、争いをセンセーショナルに捉えるだけでなく、争いの原因や背景、解決法にも注目して、そこにヒトと自然、ヒトとヒトとのよりよい関係づくりの努力の足跡を読み取ることも大切です。

 現代においても、九州北部の諫早(いさはや)湾の締め切り干拓を解除するかどうかが大きな問題となり、群馬県を流れる吾妻(あがつま)川の八ッ場ダム建設についても賛否は分かれています。水をめぐる対立はきわめて現代的課題でもあるのです。歴史に関心のある方はもちろん、現代の資源・農業・環境問題に関心をお持ちの方にも是非ともお勧めしたい本です。

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