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2014年2月19日 (水)

地図で読む東京大空襲
――両国生まれの実体験をもとに

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菊地正浩(きくち・まさひろ)著
A5判 144ページ(カラー64ページ) 定価(本体2200円+税)

69年前の3月10日、東京下町は一夜にしてどのように焼失したか。
戦前の両国の暮らしと封印していた空襲体験を回想。

●著者は六歳で空襲を体験
 本書の著者は六歳の時、両国で東京大空襲に遭遇、家族とともに命からがら逃げおおせた経験を持っています。東京大空襲は今から69年前、昭和20年3月10日、太平洋戦争末期に米軍により下町を中心に大規模爆撃があり、10万人という途方もない人命が失われた事件です。このことについては多くの記録がありますが、体験者も過半が高齢化し記憶もうすれつつあります。著者は恐怖の体験を知る最後の世代として長らく封印していた体験談を後世に残すためにも書いておこうと決意し本書を出しました。著者は昭和14年(1939年)、両国は回向院裏の生まれ、戦前の愉しい下町の暮らし(相撲と花火の街)が一瞬にして阿鼻叫喚の惨事になる過程を生々しく描いています。「私には幼馴染がいない」という言葉には辛くも逃げおおせた著者の感懐がこもっています。

●地図に見る大空襲の惨状
 著者は地図会社ゼンリンの元役員で、仕事をきっかけに地図研究を始めました。ゼンリンの前身、日地出版の被災地図は昭和20年の被災直後に記録された唯一の地図であり今でも貴重な資料です。本書に収められているこの原図を見ると著者の住んでいた本所区(現墨田区)はほぼ真っ赤に塗りつぶされており、焼き尽くされたという言葉がぴったりの惨状を示しています。本書の前半では江戸以来の両国の街の変遷と著者の体験を地図を使って再現し、後半では被災地図の作成活動や他の地方都市の空襲の記録など、空襲と地図をめぐる話題をより広く提供しています。
 本書は再び巡ってきた記念日の前にあの大惨事を改めて考えるために好個の材料を提供してくれていると思います。

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