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2014年4月18日 (金)

なぜ韓国は中国についていくのか
――日本人が知らない中韓連携の深層

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荒木信子著

四六判上製 三〇四頁 定価二三七六円


〇国交正常化を画期として深まった中韓連携
 日本の朝鮮統治時代をめぐる歴史認識を取り上げて日本批判を繰り返す韓国朴槿恵大統領の言動は、朴氏が一国の国家元首の立場にあることを考えれば、何とも異様です。一方これとは対照的に、先のハーグ核安保サミットでは朴氏が日米韓首脳会談に優先して中国習近平主席と会談を行なうなど、中国との親密ぶりが目立ちます。中国と韓国はかつて朝鮮戦争で敵同士として戦い、双方に夥しい数の犠牲者が出たわけですが、こうした歴史はもはや不問に付されているかのようです。
 本書は、二十年余にわたり日韓関係をウォッチしてきた著者が、近年顕著になった中韓連携の由来を探ったものです。日韓間、中韓間の人的交流の推移を示す統計、中韓要路の接触を伝える韓国メディアの報道を丹念にたどった結果明らかになったのは、一九九二年の中韓国交正常化を機に韓国の中国傾斜が一気に進み、その後連携が深まったこと、多事多難な九〇年代を送った日本はこうした事態の進行に気づかなかったということです。

〇朝鮮半島でプレゼンスを増した中国

 連携の中身がけっして対等なものではないことも本書は明らかにしています。
 好調な経済を追い風に盧泰愚大統領は(旧)共産圏との修好を遂げ(「北方外交」)、その仕上げとして中国との国交正常化を果たしました。このとき韓国が正常化に前のめりになったのは、北朝鮮より優位に立とうとの思惑と、中国市場への期待が大きかったためと著者は見ています。しかしながら中国は正常化の声明の中で韓国が朝鮮半島の唯一の合法政府であるとは言っておらず、かたや韓国は中国の要望どおり長年の友邦国台湾を切り捨てました。金泳三大統領の時代には北朝鮮の核危機が表面化し(一九九三~九四年)、韓国は中国が北朝鮮を御してくれることを期待しますが、中国は曖昧な姿勢をとりつづけ、結局米朝合意がなって危機が去ってみれば、中国は北朝鮮との関係を保ったまま韓国への影響力を強めるというパワーバランスの図式が出来上がっていたのでした(第二章、第三章で詳述)。韓国との関係を深めることで中国は朝鮮半島全体でプレゼンスを増したのです。

〇〝韓国カード〟が切れるようになった中国
 一九九四年から「愛国主義教育」に名を借りた反日キャンペーンを発動した中国江沢民主席に金泳三大統領が同調、九五年の江・金共同声明でいよいよ本格的な対日歴史共闘の幕が開くのですが、この時期を跡づけた第四章はとりわけ読み応えがあります。両首脳はこのとき歴史認識問題でそろって日本を非難。韓国としては中国に北朝鮮を抑える役割を期待していたのでしょうが、結局のところ前面に出たのは歴史問題であり、共闘とはすなわち中国が日本に対して〝韓国カード〟を切れるようになったことを意味し、日本にとってはまことに厄介な状況が出現したと著者は指摘しています。
 中韓には二千年に及ぶ歴史の紐帯があり、日韓併合以降今日までがむしろ例外なのであって、すんなりと結びつくのは〝自然の摂理〟と著者は述べていますが、こうした原初的な関係があらわになった今は日韓関係を捉え直す好機でもあり、そのためにはまず韓国の行動原理を冷徹に見ることが肝要、本書は間違いなくこれに資する一冊と言えます。

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