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2014年5月14日 (水)

遅い光と魔法の透明マント
――クローキング、テレポーテーション、メタマテリアルを実現した光の科学の最先端

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シドニー・パーコウィッツ著 阪本芳久訳
46判/並製/240頁/定価(本体1,800円+税)

◆「透明人間」が物理学の重要研究テーマに! 自転車並の速さの光が実現!
  いま、光の科学がビックリするほど進んでいる!

 光といえば、科学というものがはじまったいにしえの時代から、ずっと研究の対象とされてきたもので、ニュートンもアインシュタインも、その実体の解明に大きな貢献をしました。それほど昔から研究されている光について、いまもまだ驚くような新しい発見が次々と起きているとは、信じられないかも知れません。しかし、光の科学は、科学界全体の中で見ても、いま最も大きく進展している分野の一つと言えるのです。
 たとえば、光を自転車並の非常にゆっくりとした速さに減速させたり、完全に停止させたりすることが、最近可能になりました。さらには、光を特殊な物質で曲げて人や物を完全に隠せる「透明マント」が実現可能であることが理論的に証明され、その実現のための技術開発がいま、着々と進んでいます。従来のコンピュータでは事実上不可能だった計算を一瞬で成しとげる、光を使った量子コンピュータや、光の波長以下の大きさのウイルスやタンパク質まで、光を使って見ることができるスーパーレンズの開発もすすめられています。
 20世紀にはコンピュータを中心とした「電子技術」が世界を大きく変えてきましたが、21世紀の世界を変貌させるのは「光の科学技術」なのかも知れません。

◆光の科学を専門とする物理学者が、古今のSFと比較しつつ、最新の光科学を紹介!
 本書は「光とはそもそも何なのか」というところから説き起こし、透明化技術、超光速移動、量子テレポーテーション、量子コンピュータ、超強力レーザーなど、ワクワクするトピックを幅広く扱いますが、どれもが正真正銘の最先端科学で、光を専門とする物理学者である著者がわかりやすく解説します。
 とはいえ、これらのトピックはSF作品の中でも非常に人気のあるもの。たとえば「透明化」は、『透明人間』や『ハリー・ポッター』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『スタートレック』など、さまざまな作品に登場します。本書では、現実の光の科学技術を単に紹介するだけでなく、どのくらいSFに近づいているかを検証したり、あるいはSFの設定を実現することがなぜ難しいかを解説したりと、最先端の光科学とSF作品の技術とを比較しているのも、面白いところです。なかには、現実の技術がSF作品の設定を凌駕している場合もあって、ビックリさせられることでしょう。
 科学技術は、どの分野も均等に前進しているわけではありません。いま現在、最も進展している分野は何か、と問われれば、その中に「光の科学」が入ることは間違いなし。科学のいまを知るためにも、ぜひ読むことをオススメしたい一冊です。  

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